こんにちは。エンゲージメントソリューション「WOW engage(ワオエンゲージ)」のマーケティングチームです。
今回のテーマは「アップセルについて」です。
アップセルとは、顧客の購入単価を向上させる手法を指します。顧客が購入した商品やサービスと同じ種類で、より価値のある高価なものを提案し、購入を促します。顧客1人あたりの売上単価を上げることができれば企業の総売上の向上につながるため、多くの企業がこの手法を取り入れています。
本記事では、アップセルの基本的な意味や、混同しやすいクロスセルとの違い、活用シーンを詳しく解説します。
さらに、アップセルを成功させるための5つのステップを、具体例を交えながらご紹介します。データドリブンなマーケティングで、顧客満足度と収益向上の両立を目指しましょう。
アップセルとは、既存の顧客に対して、現在の購入商品やサービスよりも高価格・高付加価値の選択肢を提案する販売手法のことです。例えば、以下のようなものがアップセルに該当します。
アップセルが成功すれば、企業は同じ顧客からより多くの収益を得られるようになります。一方、顧客はより高価格な商品・サービスを利用することで、より大きな価値や満足感を得られる可能性があります。
ただし、顧客のニーズや状況を無視して強引にアップセルを行うと、顧客満足度を低下させ顧客離れにつながるリスクもあるので注意が必要です。アップセルを成功させるには、顧客理解を深め、適切なタイミングで顧客にとって本当に価値のある提案を行うことが重要です。
アップセルは、既存顧客へのアプローチによって顧客単価を向上させ、新規顧客獲得よりも効率的に売上を伸ばせる点が大きなメリットです。また、LTV(顧客生涯価値)の向上にも寄与し、顧客の満足度を高めながら継続的な収益を確保できます。
新規顧客獲得には高いコスト(CAC※1)が発生するのに対し、アップセルを活用すれば、既存顧客へのアプローチによるROI※2の改善が可能となります。加えて、顧客にとって最適な商品・サービスを提案することで購買体験が向上し、ブランドロイヤリティの強化にもつながります。
適切なアップセル施策を取り入れることは、企業の収益基盤を強化し、持続的な成長を支える上で重要な戦略となります。
LTV(Life Time Value)とは、日本語で「顧客生涯価値」と訳され、顧客がその企業やブランドと取引を続けることで生み出す総収益を指します。単に1回の購入で得られる利益にとどまらず、長期的な顧客との関係から得られる収益全体を評価する概念です。
LTVを高めることで、一人の顧客から得られる収益が増加し、それは結果的に企業の売上アップにつながります。それを実現するには、顧客との取引を増やすだけでなく、企業と顧客の関係性を深める取り組みが必要です。
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※1:CAC(Customer Acquisition Cost)とは「顧客獲得単価」のことで、顧客一人または一社を獲得するまでに発生したコストを指します。
※2:ROI(Return on Investment)とは「投資利益率」と呼ばれ、投じた費用に対してどれだけ利益を上げることができたかを示す指標です。
アップセルが「より上位の商品」を提案するのに対し、クロスセルは「関連商品」を提案する点が大きな違いです。
クロスセルとは、ある商品やサービスを購入した、または購入しようとしている顧客に対して、それに関連する別の商品やサービスを提案し、合わせ買いを促すことで顧客単価の向上を目指すマーケティング・営業手法のことです。
クロスセルの具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
顧客にとってクロスセルは、自ら調べることなく関連商品を知ることができ、より便利に、より快適に商品・サービスを利用できるようになるメリットがあり、顧客満足度の向上につながる可能性があります。企業にとっては顧客単価の向上だけでなく、顧客のニーズをより深く理解するきっかけにもなります。
アップセルとクロスセル、どちらの手法を活用するかは、顧客のニーズや購買プロセスに応じて適切に判断することが重要です。
手法 | 効果的な活用シーン |
---|---|
アップセル | ●顧客が現在利用している商品・サービスに満足している場合 ●顧客がより高いレベルの機能やサービスを求めている場合 ●顧客のライフステージやニーズが変化した場合(例:子供の成長に合わせて、より性能の高い子供用自転車を提案する) |
クロスセル | ●顧客が購入しようとしている商品・サービスと、関連性の高い商品がある場合 ●顧客の潜在的なニーズを満たせる可能性がある場合 ●顧客の購買意欲が高まっているタイミング(購入直後など) |
場合によっては、アップセルとクロスセルを組み合わせることで、より大きな効果を得られることもあります。たとえば、スマートフォンを買い替える顧客に上位モデルを提案するのと同時に、保護フィルムやケースも併せて提案するなどのケースが考えられます。
アップセルは多くのメリットがある一方で、注意すべき点もあります。特に、以下の3つのリスクには注意が必要です。
強引なアップセル、ニーズに合わない提案、しつこい勧誘などにより、顧客が不満や不信感を抱き、競合他社に流出してしまう可能性があります。
また、顧客を無視したアップセルは「押し売り」「顧客軽視」といったネガティブなイメージを定着させ、企業の評判を悪化させる恐れもあります。
他にも、目先の売上を優先するあまり顧客との長期的な関係構築を怠ると、顧客ロイヤルティが低下し、LTVが低下する可能性があります。
これらのリスクを回避するためには、顧客のニーズを深く理解し、適切なタイミングで価値ある提案を行うことが重要です。そのためには、データに基づいた顧客理解とパーソナライズされた提案、顧客との良好なコミュニケーションが不可欠です。
アップセルを成功させるためには、戦略的なアプローチが不可欠です。ここでは、アップセル戦略を具体的な5つのステップに分けて詳細に解説します。
アップセルの成功は徹底した顧客理解から始まります。顧客の属性(年齢、性別、居住地など)、購買履歴(購入商品、購入頻度、購入金額など)、行動履歴(Webサイトの閲覧履歴、アプリの利用状況、メールの開封・クリック状況など)といった、さまざまなデータを分析します。
データ分析の具体的な手法は以下の通りです。
これらの分析結果に基づき、顧客セグメントを作成します。
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アップセルが最も効果を発揮するのは「優良顧客」と呼ばれる層です。ステップ1で得られた分析に基づき、以下の表のように顧客を区分しましょう。こうすることで、商品やサービスをよく購入している「優良顧客」を可視化できます。
顧客層 | 説明 | 例 |
---|---|---|
優良顧客 | 過去の購入金額や購入頻度が高く、ロイヤルティの高い顧客 | ●年間購入金額が上位10%以内に入る顧客 ●会員プログラムのステータスが高い顧客(例:プラチナ会員、ゴールド会員) |
潜在顧客 | 上位商品に関心を示しているものの、まだ上位商品の購入に至っていない顧客 | ●Webサイトで上位商品のページを頻繁に閲覧している ●関連商品の情報を収集している(カタログ請求、比較サイトの閲覧など) ●無料トライアルや下位プランを利用している ●下位商品を一定期間以上利用している、または利用頻度が高い |
休眠顧客 | 過去に購入履歴はあるものの、一定期間以上利用がない顧客 | ●最終購入日から6ヶ月以上経過している顧客 ●過去1年間に一度もWebサイトにアクセスしていない顧客 ●メールマガジンを開封していない、またはクリックしていない顧客 |
ステップ2で選定したターゲット顧客に対し、彼らの心に響く魅力的なオファーを設計します。ステップ1で得られた顧客理解、特に顧客のニーズ、嗜好、購買履歴、行動履歴に関する情報を最大限に活用し、顧客にとって「価値がある」「魅力的だ」と感じられるオファーを創り出すことが重要です。
オファーの具体例は以下の通りです。
顧客のニーズや嗜好、過去の購買履歴などを考慮し、オファー内容をパーソナライズすることも効果的です。
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魅力的なオファーが用意できても、適切なタイミングとチャネルでお客様に届けなければ、その効果は半減してしまいます。
顧客との接点を最適化し効果的なコミュニケーションを行うことが、アップセル成功への近道です。
アップセル戦略を長期的に成功させ、顧客満足度と収益性の両方を向上させるためには、継続的な改善サイクルを回すことが不可欠です。
まず、KPI(重要業績評価指標)を設定し、アップセル施策の現状を把握することから始めます。次にA/Bテストなどを通じて、どの施策が最も効果的であるかを検証します。
検証結果に基づき、施策の改善を行います。例えば、オファーの表現を修正したり、ターゲット顧客のセグメントを見直したり、提案チャネルを変更したりします。最後に改善後の施策を実行し、再び効果測定を行います。
この一連のプロセスを繰り返すことでアップセル戦略は常に最適化され、より高い成果を生み出し続けられます。
前述の通り、アップセルを成功させるためには自社が持つ顧客データを分析し、顧客理解を深めることが不可欠です。もし企業内で顧客データがバラバラに管理されている場合は適切な分析ができないため、まずは顧客データを統合し、一元管理することが必要です。
顧客データの一元管理にはCDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)の導入がおすすめです。さらに一元管理したデータからの分析、施策の実行までスムーズに行うことがアップセルの成功につながります。
当社の「WOW engage」は、企業が持つ顧客データを統合・分析し、マルチチャネルでのメッセージ配信がワンパッケージとなったエンゲージメントソリューションです。
「顧客データがうまく活用できていない」「顧客データの統合に不安がある」など、いま抱えている問題や課題がございましたら、当社までお気軽にご相談ください。
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「WOW engage」で行える、アップセル向上施策の一例をご紹介します。
「WOW engage」では、顧客データを活用して優良顧客を特定し、特別な優待施策を実施できます。例えばECアパレル企業の場合、次のような施策が考えられます。
まず、冬シーズンの購入履歴から「定価で商品を購入した顧客」を抽出します。割引が無くても自社ブランドをリピート購入してくれる既存顧客は優良顧客であり、自社ブランドのファンである可能性が高いです。これらの優良顧客のみに絞って、通常よりも高い価格帯の「春シーズン新作・オリジナル特典付き数量限定商品の先行販売」という招待メールを配信します。優良顧客にセグメントしてこのような特別感を出すことで、ファンの満足度は向上し、かつアップセルを狙えます。
また、SALE品であっても購入点数を増やしていただくことでアップセルを実現できます。まずは「WOW engage」で冬シーズンの購入履歴を確認し、SALE商品を複数かつ合計1万円以上購入したお客様を抽出します。これらの割引に興味がある顧客のみに絞って、「春シーズン先行セールにご招待!2点以上ご購入で5%OFF、3点以上ご購入で10%OFF」というキャンペーンメールを配信することで、顧客の満足度を高めつつ、購入総額を上げる施策を実施できます。
「WOW engage」は、メールとアンケートを活用した、きめ細やかなクロスセル・アップセル施策にも対応可能です。保険業界を例に、具体的な施策をご紹介します。
まず「WOW engage」で顧客データを分析し、「年代ごとに加入する傾向の高い保険商品」を抽出します。そして契約中の顧客に対し、その顧客と同世代に選ばれている商品をメールで紹介します。その際、現在契約中のプランでは不足している可能性のある補償内容と、それを補う追加プランを提案することで、アップセルを促します。顧客の声を紹介するコンテンツなどをメールに掲載することで、より関心を高められるでしょう。
さらに、「WOW engage」でメール経由のWebページ閲覧状況を確認し、商品ページを複数回閲覧している顧客を洗い出します。関心度の高い顧客に絞ってWeb接客ツールやDMで追加のアプローチを行うことで、プランの追加や新たな契約につなげることが可能です。
アップセルは、顧客単価を向上させ、企業の収益基盤を強化する上で非常に有効な戦略です。しかし、顧客のニーズを無視した強引な提案は、顧客離れやブランドイメージ低下のリスクを高めます。データに基づいた顧客理解を深め、パーソナライズされた価値ある提案を、適切なタイミングとチャネルで行うことが重要です。
アップセル戦略を成功させるためには、顧客データの統合・分析が不可欠であり、CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)の活用が効果的です。当社のエンゲージメントソリューション「WOW engage」は、CDP機能とマルチチャネルでのメッセージ配信機能をワンパッケージで提供し、データドリブンなアップセル施策の実現をサポートします。
「WOW engage」を活用することで、顧客一人ひとりに最適化されたコミュニケーションが可能となり、顧客満足度とLTV(顧客生涯価値)の向上、そして持続的な成長を実現できるでしょう。「WOW engage」にご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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