こんにちは。エンゲージメントソリューション「WOW engage(ワオエンゲージ)」のマーケティングチームです。
今回のテーマは「顧客データについて」です。
顧客データとは、顧客の性別や年齢などの属性情報、商品の購入履歴などの行動データ、そして顧客アンケートや問い合わせ内容など、「顧客に関するあらゆる定量・定性データ」を指します。
多くの情報に触れることができる昨今、顧客のニーズはますます多様化しています。マーケティング施策を実施するうえで、「顧客を正しく理解すること」が重要な鍵となります。
本記事では、顧客データの収集方法や分析手法、マーケティングで活用する方法をわかりやすく解説します。顧客データの収集や管理、分析に役立つツールも紹介していますので、最後までご覧ください。
企業のマーケティングを成功に導くには、顧客データを収集・分析し、顧客の行動やニーズを正しく理解することが必要です。ここでは、顧客データの重要性と活用するメリットを詳しく解説します。
ユーザーが商品購入に至るまでには、さまざまな工程があります。例えば、ECサイトやアプリで商品を探し、SNSで口コミをリサーチしたり、店頭で商品を手に取って実物を見たりと媒体を横断することもあります。
マーケティングで成果を上げるには、「顧客データ」を分析して多様化した顧客ニーズを捉え、顧客の属性や行動に適した訴求をしていくことが欠かせません。
また、数ある商品やサービスのなかから自社を選択してもらうためには、顧客ニーズを捉えた商品を提供することが大切です。顧客ニーズを正しく理解できれば、商品開発においても他社との差別化や独自性の獲得につながるでしょう。
担当者の勘だけに頼ってマーケティング戦略を立ててしまうと、施策の効果が出ない、目標を達成できないということが少なくありません。これまで成果を上げていた戦略や、他社が成功している施策を取り入れることは間違いではありませんが、市場や顧客ニーズは移り変わっていきます。
顧客データを分析することで市場変化にも対応したマーケティング戦略を立案できるようになり、顧客ニーズに応えることができるようになるでしょう。また、成果が見込める施策を打ち出しやすくなるため、マーケティング施策の効率化も図れます。
LTVとは「顧客生涯価値」を意味するLife time Value(ライフタイムバリュー)の略称で、特定の顧客から取引期間中に得られる収益を指す指標です。収益の安定化には、顧客と信頼関係を構築し、LTVの最大化を図ることが欠かせません。
顧客データを分析して顧客に適したマーケティングを実施することで、リピート顧客の獲得や顧客のファン化、顧客ロイヤルティ向上を実現しやすくなるでしょう。LTVの向上が、企業の売上拡大にもつながります。
マーケティングに活用できる顧客データは、実際にどのような情報を収集すればよいのでしょうか。ここでは顧客データの種類を「属性データ」「行動データ」に分けて、それぞれ解説します。
属性データとは、氏名や住所、年齢、職種などの個人を特定するための情報や属性、趣味嗜好といった心理的なデータを指します。主な属性データの種類は、以下の3つです。
● 個人情報データ:氏名、電話番号、メールアドレス、住所など
● デモグラフィックデータ:年齢、性別、居住地、家族構成、職種、学歴など
● サイコグラフィックデータ:趣味、ライフスタイル、価値観など
属性データを活用することで「東京都在住の30代女性」というように、顧客をカテゴライズすることができます。ただし、属性データは個人情報を収集するため、取り扱いに注意が必要です。
行動データは、商品の購入履歴やWebサイトのアクセス履歴など、行動に関するデータのことです。細分化すると「定量データ」と「定性データ」の2種類に分けられます。
定量データとは数値化できるデータのことで、売上や販売数、購入頻度、来店回数、Webサイトのアクセス履歴、顧客満足度、NPS®※などを指します。
顧客が商品購入に至るまでに、どのような行動を起こしたかを把握できます。顧客行動を可視化できるので、マーケティング戦略を設計する際に役立ちます。
※NPS®(Net Promoter Score)は、顧客のロイヤルティを測る指標の一つです。「あなたは○○の製品・サービスを友人に勧めますか?」という質問に、10(とても勧める)~0(まったく勧めない)の10段階で回答を取得し、値を算出します。
Net Promoter®およびNPS®、Predictive NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の登録商標です。
定性データは数値化できないデータで、顧客が行動に至った理由やニーズに関する情報のことです。例えば、顧客アンケートのフリーコメント、問い合わせ履歴、カスタマーサポートに寄せられたお客様の声やクレーム、投稿されたレビューなどがあげられます。
定性データを収集することで、商品を購入した理由や不満を持っていることなど、顧客の心理や感情から顧客ニーズを深掘りできるようになります。
顧客データの収集方法について、代表的な例を3つあげて紹介します。
顧客データを収集するには、顧客情報を管理する仕組みを作り、自社サイトへ会員登録を促すことが近道です。商品購入時やサービス利用時にメールアドレスや氏名、住所、年齢などの属性データを登録させて管理する方法が一般的です。
顧客管理の仕組みを作ると、顧客を属性に応じたセグメントに分け、施策を実施できるようになります。さらに、顧客の購入データや行動データなどと紐付けて管理できるようにすると、よりきめ細かいマーケティング施策の実施も可能になります。
Webサイトやアプリでの顧客行動を把握したいときは、流入経路や閲覧ページ、閲覧日時、閲覧回数、滞在時間などの行動データを取得して収集しましょう。Webサイトとアプリなど媒体を横断した際のデータを収集するには、ツールの導入が欠かせません。
例えば、企業が持つ顧客データを統合・分析してマーケティング施策に活用できる「CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)」を導入すれば、データの収集だけではなく、ユーザー単位での解析ができるようになります。
商品ページの閲覧履歴や閲覧回数を収集・分析することで、リピーター獲得のためのリピート施策やアップセル・クロスセルなどの施策に活用できるでしょう。
CDPによるデータ統合・分析と、メールやSMSなどのメッセージ配信が
可能なソリューション「WOW engage」について
定性データを収集したいときは、ユーザーアンケートや行動観察調査を実施するのもひとつの手段です。Webサイト上やメール、DMなどでアンケートを実施してデータを収集します。普段利用しているユーザーに向けて、顧客満足度や不満点などを聞くことで、顧客ニーズや行動パターンを理解し、新商品の開発などに役立てることができます。
顧客の実際の行動を詳しく把握したいときは、リサーチ会社などに依頼して、顧客が商品を使う様子を観察する「行動観察調査」を実施すると良いでしょう。顧客の潜在ニーズを知りたいときに適しています。
収集した顧客データを分析するための代表的な手法を4つあげて紹介します。
セグメンテーション分析とは、顧客を属性や行動、地域、趣味嗜好などでグルーピングして分析する手法です。セグメントごとに、顧客にどのような傾向があるのかを把握できるため、顧客ニーズの理解やROI向上に活用できます。
セグメンテーション分析は、市場で自社の立ち位置を探る際に用いられる、STP分析の要素のひとつです。
STP分析は、参入する業界・マーケットで、どのような立ち位置を取るべきかを把握できるフレームワークです。
「セグメンテーション(Segmentation)」「ターゲティング(Targeting)」「ポジショニング(Positioning)」の頭文字を取っています。
市場や顧客を分類して狙いを定め、他社との違いを明らかにし、自社の立ち位置を明確にすることで効果的なマーケティング戦略を立てられます。
マーケティング分析とは?フレームワーク10選と手順を解説
セグメントとは?意味や使い方、マーケティングでの活用例を解説
RFM分析は、ECでマーケティング施策を行う際によく用いられる分析手法です。以下の3つの指標で顧客を評価してセグメント化します。
● 直近の購入日(Recency):最終購入日が近い顧客を高評価とする
● 購入頻度(Frequency):購入回数が多い顧客を高評価とする
● 購入金額(Monetary):購入金額が高い顧客を高評価とする
3つの指標に分けることでリピート率が高い「優良顧客」や、長期間利用していない「休眠顧客」などにグルーピングし、顧客の状況にあわせた施策を実施できるようになります。特にリピート施策を行うときに有効です。
デシル分析とは、購買データに基づいて顧客を購入金額の高い順に10等分し、グループごとに分析する手法です。グループごとの売上購入比率や売上構成比を可視化できます。
売上に貢献している優良顧客層を抽出できるため、マーケティングで注力すべきターゲットを見つけ出したいときに最適な手法です。また課題となっている顧客層の発見にもつながります。
バスケット分析とは、顧客の買い物かごの中身を分析する手法です。同時に購入されている商品を発見できます。POSデータやECサイトの購入データなどを分析して、顧客の購買傾向を掴みます。
ある商品と同時に購入されている商品を抽出できるため、顧客の思わぬ購買行動を見つけ出せるメリットがあります。クロスセルやアップセルに役立つ分析手法です。
顧客データをマーケティングで有効活用する際に課題になりやすいのが、自社で保有しているデータ同士を連携できないことです。複数店舗や、実店舗とECサイトを運営している場合は、POSデータやカートシステム、自社システムなどシステムごとに顧客データが分断されてしまうことも少なくありません。
顧客ごとに最適なアプローチをするには、顧客データを集約して管理できるような体制を構築し、データのサイロ化を解消する必要があります。
データのサイロ化とは、企業にとって有効なデータが分散して保管され、活用すべき場所へ連携・共有がされていない状態を指します。
データのサイロ化が発生すると、データの重複や不整合が起こり、データの信頼性や正確性が低下するだけでなく、データの利活用においても問題を引き起こします。
たとえば、マーケティング施策をおこなう際、まずはターゲットを定め、ターゲットに合ったアプローチが求められます。しかし、データのサイロ化が生じていると、信頼性や正確性のあるデータではないためターゲットの正しい把握や最適なアプローチができません。
データのサイロ化が進むと、情報の共有不足により作業が増加し、組織内のコミュニケーションが妨げられ、全体の情報を総合的に判断できなくなります。結果的に、戦略的な意思決定に遅延が生じるリスクが高まります。
特に、競争の激しいビジネス環境では、迅速な対応と正確な情報が求められるため、データのサイロ化は深刻な問題です。
サイロ化とは?データのサイロ化がもたらすリスクと解消手順を解説
まずは自社に保有している顧客データを統合し、管理することが重要です。顧客データを統合・管理する方法としては、CDPの導入があげられます。CDPは、顧客情報やWebサイトのアクセス履歴、購入情報などを取得して統合し、管理することが可能です。さらにデータの活用目的にあわせて必要なデータを収集し、適切な分析ができるようになります。顧客に関するデータを横断的に管理し分析できるので、顧客ニーズを深く理解できるようになるでしょう。
CDPとは、「Customer Data Platform(カスタマー・データ・プラットフォーム)」の略称で、企業が持つ顧客データや行動データなどを統合、分析し、マーケティング等の施策に活用するためのプラットフォームです。
顧客一人ひとりのWebサイトの閲覧履歴や位置情報、購買行動など各システムから取得したデータを収集し、「どのようなコンテンツに興味があるのか」「どのようなアプローチをすればロイヤルティが高まるか」などを分析し、最適な施策を見出すことができます。そして、メッセージ配信ツール等と連携することによりそれらの施策を実行し、マーケティング効果を最大化することが可能です。
昨今、人々が接触する情報量は爆発的に増加し、企業と顧客とのコミュニケーションも多様化しており、すべての顧客に同じアプローチをしても効果を出すのが難しくなってきています。そのため、顧客を深く理解し、自社のマーケティングを強化できるCDPの重要度が高まっています。
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CDPによるデータ統合・分析と、メールやSMSなどのメッセージ配信が
可能なソリューション「WOW engage」について
最後に、マーケティングでの顧客データの活用方法を3つ取り上げて紹介します。
顧客データの活用は、Webマーケティングの施策において有効です。主な活用方法としては、Webサイトの戦略設計や改善があげられます。顧客データから行動の傾向やニーズを掴むことで、SEO戦略やサイト構造の最適化、ユーザビリティの改善に取り組めます。
商品購入や問い合わせといったコンバージョンを獲得し、成果を上げるには、ユーザーのサイト上での行動を把握して、導線を見直すことが大切です。顧客データを基に行動の傾向を掴むことで、WebサイトのCTA※の設置場所やデザイン、文言などを改善し、離脱率の低下やコンバージョン率の向上、CX(顧客体験)の向上に役立ちます。
※CTA(Call To Action)
WebサイトやWeb広告、メールなどのコンテンツを見た人に、次のステップに進むよう促す「行動喚起」のこと。「無料体験はこちら」などの文言をボタンやリンク、テキストなどで表すことが多い。
また、顧客データはWeb接客の最適化にも活用できます。例えば、Webサイトの閲覧履歴や購入履歴などの顧客データと連携することで、ユーザーに適したポップアップやメッセージを表示できるようになります。
顧客ニーズの多様化からすべての顧客に同一のメッセージを配信しても、思うような効果が期待できなくなってきています。メッセージ配信でマーケティング効果を高めるには、顧客ごとに適した内容を配信することが重要です。
顧客データを活用することでターゲットを絞り、その人に適した内容のメッセージをメールやSMS、プッシュ通知機能で配信できるようになります。例えば化粧品を取り扱うサイトであれば、30代後半の女性に対して、使用している化粧品がなくなるタイミングにアンチエイジングの化粧品ラインを紹介したり、同じ年代の顧客から支持を得ているクレンジング商品を進めたりするといった施策が考えられます。
顧客データから興味や関心があるコンテンツを配信することで、クロスセル・アップセル施策を実施しやすくなり、売上アップにつながるでしょう。
顧客データを連携し集約できれば、オムニチャネル化も加速できます。店舗とECサイトの顧客データを統合することで、チャネルによって顧客への対応が異なるといったことがなくなります。店舗とECサイトのデータを統一できるので、顧客の好みをより正確に把握したうえで適切なマーケティング施策を打てるようになり、顧客満足度向上にもつながります。
オムニチャネルとは、顧客が店舗、Webサイト、モバイルアプリ、電話、ソーシャルメディアなど、さまざまな媒体を通じてシームレスに商品を購入できる小売りの販売戦略を指します。
オムニチャネルは小売りを表す「リテイリング」と合わせて「オムニチャネル・リテイリング」とも呼ばれます。
従来の小売りの形態では、一般的に店舗やオンラインショッピングなどが別々に運営されていました。しかし、オムニチャネルではこれらが一体となり、顧客に統一された買い物体験を提供している点が特徴です。
オムニチャネルとは?メリットやマルチチャネルとの違い、進め方を簡単に解説
顧客データは、多様化している顧客ニーズを正しく理解するために必要不可欠です。性別や年齢などの属性情報、購入履歴やアクセス履歴などの行動データ、アンケートや問い合わせ内容などの心理的なデータなど、定量・定性問わず幅広い顧客データを分析することで、マーケティング効果を高めることができます。
そのために、自社で保有しているさまざまな顧客データを統合・分析できるCDPの導入をおすすめします。
さらに、当社が提供するエンゲージメントソリューション「WOW engage(ワオエンゲージ)」であれば、CDPによるデータの統合・分析はもちろん、メールやSMSなどのメッセージ配信までをワンストップで実現できます。顧客のデモグラフィック情報や購買履歴、行動履歴など、企業が持つあらゆるデータを統合・分析し、顧客一人ひとりへの最適なコミュニケーションが可能となります。
「顧客データを統合して適切に管理したい」「収集した顧客データをマーケティングに有効活用したい」とお考えの方は、是非当社までご相談ください。
エンゲージメントソリューション「WOW engage」でできること、導入メリット、主な機能など、
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