こんにちは。エンゲージメントソリューション「WOW engage(ワオエンゲージ)」のマーケティングチームです。
今回のテーマは「マーケティング分析について」です。
昨今、インターネットやSNSなどの普及により、ユーザーの行動やニーズが多様化しています。そのため、過去の常套手段や勘所に頼らず、ファクトデータをもとにしたマーケティング分析から戦略を立案し、施策の取捨選択と見直し、実行と改善を繰り返すことが重要視されています。
本記事では、マーケティング分析の代表的なフレームワークや、知っておきたい購買行動、さらに分析の手順をわかりやすく解説します。
マーケティング分析とは、データを活用して市場の動向、顧客の行動、ビジネスの成果を理解することです。
マーケティング分析をおこなうことで数字を根拠にしたマーケティング戦略が立案できるようになり、その戦略に合わせた施策の取捨選択と見直し、実行と改善が可能となります。これは自社の売上を拡大するにあたり、不可欠なプロセスです。
マーケティング分析は、なぜ重要だといわれているのでしょうか。ここでは分析の重要性を2つのポイントで解説します。
マーケティング分析をおこなうことで、市場や消費者ニーズを知ることができます。
近年、メーカーの技術力の向上や類似商品の供給過多を背景に、商品やサービスのコモディティ化が進んでいます。また、市場環境の変化が速く、消費者のニーズが多様化しつづけており、それまで通用した手法を続けても商品が売れにくくなっていると言われています。
このように、変化し続ける市場環境や多様化する顧客ニーズに企業が対応していくには、マーケティング分析によって自社の状況を客観的に把握することが重要となっています。
マーケティング戦略を立案する際には、売上データ、Webサイトへの訪問データ、第三者機関が提供している統計データ等を多角的に分析することが欠かせません。
競合他社と比較して自社商品・サービスの強みを把握したり、ユーザーの購買行動を把握したりすることで、どのような施策を打つべきかがクリアになります。
マーケティング分析が重要だと理解していても、いざ実践するとなると「分析方法がわからない」という壁にぶつかります。
そこで、マーケティング分析に役立つ10の実践的なフレームワークを紹介します。目的に応じて、適切なフレームワークを活用しましょう。
PEST分析は、自社を取り巻く外部環境が将来的に与える影響を把握し、予測するためのフレームワークです。
4つの外部環境を取り出し、自社に与える影響をそれぞれ分析します。
● 政治(Politics):政権交代、法改正、税制改正など
● 経済(Economy):株価の変化、景気の動向、賃金の引き上げなど
● 社会(Society):ライフスタイルの変化、流行、少子高齢化など
● 技術(Technology):新技術の普及、AIの浸透、インフラ整備など
PEST分析では、上記のような政治や経済といった自社でコントロールできない環境要因を分析し、市場の変化や将来性を予測します。
市場の将来性を見据えたうえで、マーケティング戦略や施策を立案する際に有効です。
3C分析は「自社(Company)」「顧客(Customer)」「競合(Competitor)」の3つの環境要因から分析するフレームワークです。
以下のように自社に関する環境要因を抜け漏れがないように洗い出します。
● 自社(Company):企業理念・ビジョン、リソース、資本力、開発力など
● 顧客・市場(Customer):市場規模、市場の成長性、購買行動、顧客ニーズなど
● 競合(Competitor):競合の市場シェア・ポジション、企業の資本力や開発力など
自社の強みと弱み、顧客ニーズ・動向、競合の戦略や優位性などを考慮し、マーケティング戦略や自社の事業戦略を立てる際に役立ちます。
「顧客・市場」の要素を効果的に分析するには、先にPEST分析を実施しておくと市場の動向を把握しやすくなるでしょう。
SWOT分析は、自社に関する「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」を整理・分析するフレームワークです。
自社の内部環境から強みや弱みを洗い出し、外部環境から機会や脅威を探し出します。
【内部環境】
● 強み(Strength):自社の商品やサービスによい影響を与えるプラス要素
● 弱み(Weakness):自社の商品やサービスに悪影響を与えるマイナス要素
【外部環境】
● 機会(Opportunity):社会・市場変化など外部要因が自社にもたらすプラス要素
● 脅威(Threat):社会・市場変化など外部要因が自社にもたらすマイナス要素
洗い出した強みと弱み、機会と脅威をマトリックスにまとめ、その結果をもとに自社の戦略や目標設定、改善策を考えます。
5フォース分析は、自社が参入する業界の収益性や競争環境を評価するためのフレームワークです。
外部環境を以下の5つの要素に分類します。
● 業界内の競合:商品の知名度や資本力など競合との競争
● 新規参入の脅威:新たに新規参入する競合による影響
● 代替品の脅威:競合や別業界で代替品が現れた際の影響
● 買い手の交渉力:買い手(顧客や消費者)との力関係
● 売り手の交渉力:サプライヤーとの力関係
上記5つの要素に注目し、それぞれが新規参入など自社事業に及ぼす影響を分析し、収益性や競争優位性を探ります。
PPM分析(Product Portfolio Management Analysis)は、自社の事業を分類して経営資源投資の優先度を測るフレームワークです。
事業を「市場成長率」と「市場シェア率」の2つの軸で分け、以下の4つにカテゴライズします。
● 花形:「市場成長率」「市場シェア率」ともに高く、経営資源投資を継続すべき事業
● 金のなる木:「市場成長率」は低いものの「市場シェア率」が高い事業、積極的に投資する必要がない
● 問題児:「市場成長率」は高い一方で、「市場シェア率」が低い、利益は出しにくいが投資することで成長する見込みがある
● 負け犬:「市場成長率」「市場シェア率」ともに低く、事業の縮小や撤退を検討する事業
「市場成長率」が高く「市場シェア率」も高い事業や、「市場成長率」が低く「市場シェア率」も低い事業を導きだし、事業ごとに戦略や資源配分を決めることで事業戦略を管理できます。
STP分析は、参入する業界・マーケットで、どのような立ち位置を取るべきかを把握できるフレームワークです。
「セグメンテーション(Segmentation)」「ターゲティング(Targeting)」「ポジショニング(Positioning)」の頭文字を取っています。
市場や顧客を分類して狙いを定め、他社との違いを明らかにし、自社の立ち位置を明確にすることで効果的なマーケティング戦略を立てられます。
4P分析はマーケティング戦略を構築する際の基本ともいえるフレームワークです。
マーケティングの重要な要素となる「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(販売促進)」の4つの視点から分析します。
一方、4C分析は「Customer value(顧客価値)」「Customer cost(顧客コスト)」「Convenience(利便性)」「Communication(コミュニケーション)」という4つの要素で顧客視点に立って分析をおこなうフレームワークです。
企業視点の4P分析と、顧客視点の4C分析を組み合わせることで客観的な分析ができるようになります。
バリューチェーン分析は、自社が提供する商品・サービスに関わる活動やプロセスを細分化し、どのような付加価値を生み出しているかを分析するフレームワークです。
原材料調達や製造、物流、販売などの「主活動」と、経営管理や人事などの「支援活動」に注目し、どの工程で利益が生まれているかを分析します。それぞれがコストや収益に与える影響を評価するので、競争優位性を把握する際に役立ちます。
ファネル分析は、顧客が商品やサービスを購入するまでのプロセスや検討段階を可視化し、顧客がどの段階で離脱しているかを分析する手法です。
漏斗図で購買までのプロセスを可視化することで、離脱ポイントを発見しやすくなります。
顧客の購買行動やニーズを把握して、コンバージョン率を向上させるなどWebマーケティングの施策を立案するときに有効です。
RFM分析は、顧客の購買履歴から顧客を評価してセグメント化するためのフレームワークです。
「直近の購入日(Recency)」「購入頻度(Frequency)」「購入金額(Monetary)」の3つの指標でスコアを付けて顧客をセグメント化します。
優良顧客や休眠顧客などに分類することで、それぞれに合わせたマーケティング施策を実施できるようになります。ECサイトのリピート施策などで活用されている分析手法です。
これまで紹介してきたフレームワークの他にも知っておきたいのが、購買行動モデルです。消費者が商品やサービスを購入するまでのプロセスを可視化した購買行動モデルを理解しておくと、顧客への理解が深まり、マーケティング分析で役立ちます。
ここでは、代表的な4つの購買行動モデルをご紹介します。
AIDMAは、「Attention」「 Interest」「 Desire」「 Memory」「 Action」の5つのフェーズからなる購買行動モデルです。
以下のステップを踏んで購買に至るまでのプロセスをあらわします。
1. Attention(注意・認知):存在を知る
2. Interest(興味・関心):興味を持つ
3. Desire(欲求):欲しいと思うようになる
4. Memory(記憶):商品やサービスを記憶する
5. Action(行動):購入する
消費者がどの行動段階にいるのかを把握することでユーザーの心理状態にあわせて、マーケティング戦略を検討することが可能です。
先述したファネル分析は、AIDMAのプロセスがベースとなっていることが多いです。
AISASは、インターネット(検索エンジン)が普及してから用いられるようになった購買行動モデルで、5つのフェーズの頭文字を取っています。
1. Attention(注意・認知):情報を見て知る
2. Interest(興味・関心):興味を持つ
3. Search(検索):検索して調べる
4. Action(行動):購入する
5. Share(共有):情報を共有する
インターネットを活用して、興味を持った商品やサービスを消費者が自ら検索し、オンライン上で情報を発信・共有するようになり、「Search」「Share」といった能動的な行動が追加されています。
ソーシャルメディア時代における消費行動モデルが、VISASです。
VISASは、以下の5つのフェーズから構成されています。
1. Viral (口コミ):SNSの口コミで知る
2. Influence (影響):口コミから影響を受ける
3. Sympathy (共感):口コミの発信者に共感する
4. Action (行動):購入する
5. Share (共有):SNSで口コミを共有する
SNSによって情報発信側と消費者が双方向にやりとりできるようになり、距離感が近づきました。そのため誰が情報を発信しているのかによって、情報への共感度合いも大きく変化しています。
SNSマーケティングの戦略を考える際に、SNSでの口コミが消費者の購買行動にどのような影響を与えるのかを理解しておきましょう。
DECAXは、コンテンツマーケティング時代の消費行動モデルです。
「Discovery」「Engage」「Check」「Action」「eXperience」から文字を取っています。
1. Discovery(発見):WebサイトやSNSで見つける
2. Engage(関係構築):メルマガ登録やブックマークなど企業との接点を持つ
3. Check(確認):企業や商品が信頼できるのか情報をチェックする
4. Action(行動):購入する
5. eXperience(体験と共有):商品やサービスの口コミや感想を発信する
商品やサービスに関するよい情報がオンライン上に蓄積されていけば、好循環が生まれて消費者との信頼関係が築きやすくなるでしょう。
マーケティング分析は、以下の6つの手順でおこなうのが一般的です。
1. 市場分析
2. セグメンテーション
3. ターゲティング
4. ポジショニング
5. マーケティングミックス
6. 実行と評価
ここでは、マーケティング分析の手順を解説します。また、先ほど「マーケティング分析で役立つフレームワーク10選」で紹介したフレームワークの活用方法もあわせてお伝えします。
まずは、自社が属する業界や市場の内外の環境を調査し、分析することから始めます。
例えば、PEST分析で政治・経済・社会・技術などのマクロな要因を洗い出し、市場や競合など自社を取り巻く環境要因を分析する際に3C分析を活用します。さらにSWOT分析を用いて、外部環境や内部環境を整理した上で、自社の強みや顧客に対する価値を明らかにするとよいでしょう。
自社の強みや顧客に対する価値を把握できると、誰に向けてどのような価値を提供すればよいのかマーケティングの方向性が見えてきます。
PEST分析、3C分析、SWOT分析、5フォース分析、バリューチェーン分析など
市場分析でマーケティングの土台ができたら、次に価値を提供すべき市場や顧客を定めるためにセグメンテーションをおこないます。
市場分析の結果をもとに、自社のビジネスにとって適した市場を見つけて、顧客ニーズや価値観、デモグラフィックや地域差などを基準にしてグループ化します。
顧客の分類が最適であれば、マーケティング施策の反響も得られるでしょう。セグメンテーションはマーケティング施策の成果にも影響を与えるので、重要なステップといえます。
セグメンテーションで定めた市場をさらに細分化して、注力すべきターゲット層を明確にします。顧客ニーズを考えて、自社の商品やサービスが強みを発揮できる層を選びましょう。
自社の強みを生かすためには、市場動向や顧客の属性、競合企業などを検討する必要があります。
ポジショニングでは、ターゲットに対して商品やサービスの価値を認知してもらうために、自社が市場でどのような立ち位置を取るべきかを明らかにします。
ターゲットに選択してもらうためには、競争優位性や競合との差別化が大切です。
セグメンテーションやターゲティング、ポジショニングのステップをおこなうときに、STP分析を用いるとよいでしょう。
STP分析
これまでのステップで狙うべき市場や顧客、自社の立ち位置や提供する価値が明確になったので、次にマーケティングミックスで具体的な戦略に落とし込んでいきます。
4P分析と4C分析で、企業・顧客それぞれの視点で商品や販売方法などの戦略を策定していきましょう。
4P分析、4C分析
マーケティングミックスで策定した戦略を計画に落とし込み実行します。
施策をおこなう際には、KPI(Key Performance Indicator)やKGI(Key Goal Indicator)などの指標を設定し定期的にモニタリングしながら、結果を分析して修正することが重要です。
PDCAを回し、修正と改善を繰り返してマーケティングの成果を高めていきましょう。
マーケティング分析をおこなった後は、施策を実行する段階に進みます。
マーケティング分析のデータを活用して、さまざまなマーケティング施策を実施できるツールが、CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)やMA(マーケティング・オートメーション)です。ツールを活用すると見込み顧客に各種メッセージ配信をするなど、顧客に適したコミュニケーションができるようになります。
CDPとは、企業が保持する顧客データや行動データなどを統合・分析して、マーケティング等の施策に活用するためのプラットフォームです。
CDPを活用することで、顧客の属性や購買データ、自社Webサイト上の行動データなどの、さまざまなファーストパーティデータを元に顧客にパーソナライズされたマーケティング戦略を打ち出せます。例えば、ターゲットの検討段階や興味・関心に適したメール配信が可能です。
CDPを導入するメリットや活用例は、以下の記事で詳しく解説しているのであわせてご覧ください。
CDPって何だろう?CDPは分かっているようで説明できない。そんな方は、こちらのコラムをチェック!CDPについて、わかりやすく解説しています。
MAは、Webサイトの閲覧履歴などの顧客データをもとにパーソナライズされたメッセージやキャンペーンを顧客に配信するためのツールです。
顧客のマスターデータをはじめ、その顧客が商品購入やサービス利用の検討をどの程度進めているのかなどの情報を一元管理して、見込み顧客のリスト化や顧客育成を自動化します。マーケティング施策の効率化を実現することが可能です。
前述のとおり、企業が持つ顧客情報を統合・分析するプラットフォームがCDPですが、当社エンゲージメントソリューション「WOW engage(ワオエンゲージ)」はCDPの機能に加え、圧倒的な実績を持つメールやSMSなど各種メッセージ配信の機能も備えています。マーケティング分析でのデータを活用して顧客一人ひとりに適した施策を決定し、各種メッセージでアプローチすることができます。
「マーケティング分析の結果から戦略を立案したい」「分析データを活用して施策を実施したい」などのお悩みをお持ちの方は、ぜひ当社までお気軽にご相談ください。
エンゲージメントソリューション「WOW engage」でできること、導入メリット、主な機能など、
詳しい資料(PDF)をご確認いただけます。
インターネットとSNS、AIの普及によって、顧客が受け取る情報量は膨大に増え、顧客の行動は著しく変化・多様化しています。このような状況下において、マーケティング分析はますます重要度が増しています。市場や顧客のニーズを調査・分析し、ビッグデータをもとにマーケティング戦略を立案し、施策を打ち出すことが必要です。
しかし、この作業をマンパワーで行うのは至難の業です。やるべきことが分かっても、「リソースが足りない」「必要なデータを連携できない」といった問題が起こりがちです。
そこで、顧客情報や購買データ、サイト解析データなどを統合して分析ができるCDPツール等を導入して、戦略設計に関わる作業の自動化・効率化を図ることを推奨します。
市場の変化や顧客ニーズを的確に捉えたうえでマーケティング戦略を立案し、効果的な施策を実行しましょう。